本日2026年10月1日、株式会社キッズプレートは第22期を迎えました。2006年3月3日に会社を設立してから、20年が経ちました。
仕事をご依頼くださったお客様、一緒に作ってくださった仲間とパートナーの皆さま、製品を使ってくださった皆さま、展示やイベントのブースに足を運んでくださった皆さま。21期まで続けてこられたのは、皆さまのおかげです。心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。
設立からの20年
キッズプレートを設立する前、私は玩具メーカーでグラフィックデザインを担当していました。1995年からはWebの仕事に移り、オリンピック大会のイントラネットや航空会社のオンライン予約のように、画面の向こうの人がどう読み、どう操作するかを設計してきました。2006年の設立当初も、事業の中心はWebサイトの企画と制作でした。
2016年には自社のVRコンテンツとVRカメラ用のドリー(撮影機材)を持って米国テキサスのSXSWに出展し、同じ年にケニアで開かれた第6回アフリカ開発会議(TICAD 2016)では、内閣府のブースでVRコンテンツを展示しました。翌2017年にはドイツ・ハノーファーのCeBITにも出展しています。2018年以降は、VTuber番組の技術プロデュース、公共放送の技術公開イベント向けのゲーム、鉄道事業者の災害調査支援ロボットへと、事業の領域を広げてきました。
2019年にデジタルハリウッド大学で教鞭を執り始め、2020年にアバターカメラアプリ「NICE CAMERA」を公開しました。大学では学部生1,200名以上のアバターを作り、学生がアバターの姿でオンライン授業に出席し、発表しました。対面が苦手な学生も含めて、学部全体でアバターを使う運用です。アバターは人が社会に出ていくための道具になる、という考えは、大学での運用から始まっています。2023年にはNICE CAMERAにAIとの音声対話機能を組み込みました。2024年からは、生成AIを使ったアプリのプロデュースを本格的に始め、紙に描いた絵をAIがキャラクターにして会話できる「AI-KATA S2P」を公開しました。
AI-KATAの名称に込めた思い
生成AIを使った自社アプリには、「AI-KATA(アイカタ)」という名称を用いています。読みは「相方」と同じです。AIを、用事があるときだけ呼び出す道具にとどめず、毎日そばにいて一緒に過ごす相方として迎えたいと考えています。AIとともに過ごす未来の姿を、名称に込めています。名称は2024年4月に商標登録しています(登録第6792162号)。
AI-KATAの名称は、NICE CAMERAのAI対話機能、手描きのキャラクターと話すAI-KATA S2P、キオスクや受付で答えるAIアバターを支える音声会話技術に用いています。使う場面は、会議、学び、遊び、案内とさまざまです。どの場面でも、AIは人の話を聞き、一緒に考える相方として働きます。2026年4月には、AI-KATAの名称を社名とする株式会社アイカタが設立され、私はCTOとして参加しています。
第21期 生成AIアプリの成果
2024年に始めた生成AIアプリのプロデュースは、21期に実を結びました。キッズプレートのアプリは、制作、利用者に届けるアウトプット、納品後の運用のすべてで生成AIを活用しています。アプリとサイトの開発には生成AIを用いています。子どもが描いた絵をキャラクターにし、声で会話させる処理にも生成AIを用いています。納品後は、使う方が管理画面から資料を追加するだけで、AIの答える内容が入れ替わります。
2025年11月、ビジネスチャンスEXPOでAIアバターを展示しました。12月には、AI-KATA S2P キッズバージョンが第11回デジタルえほんアワードで入選しました。
デジタルハリウッド大学では、2019年から担当してきたVR/ARゼミの名称を、2025年度からサイバージェネシスゼミに改めました。VR/ARにとどまらず、AI、アバター、メタバースを含めた新しいデジタル世界の起源を探る場にするためです。21期は、サイバージェネシスゼミの最初の学生たちと過ごした1年でもありました。
2026年3月には、京都精華大学大学院マンガ研究科で修士論文「ヒューマンインターフェースとしてのキャラクターデザイン」をまとめて修了し、4月から京都精華大学マンガ学部キャラクターデザイン学科で非常勤講師を務めています。同じ4月に、会社の所在地を東京・銀座へ移しました。
5月には、生成AIを活用してコーポレートサイトを全面的に再構築し、サイトに掲載した内容だけを根拠に来訪者の質問に答えるAIアバター受付を試験的に導入しました。自社で試作した仕組みの記録は「Lab」として公開し、制作手法はnoteの連載で公開してきました。
7月には、AI-KATA S2Pの製品サイトをリニューアルし、声を出さずにボタンで遊べる「マイクなしモード」を加えました。7月25日と26日には、経済産業省北海道経済産業局と幌延町が共催した「おもしろ科学館2026 in ほろのべ」にAI-KATA S2P キッズバージョンを出展しました。子どもたちが画用紙に絵を描き、タブレットで取り込むと、描いた絵がその場でキャラクターになって話し始めます。2日間でキャラクターづくりが312件始まり、286件が完成しました。来場者アンケート(有効回答37件)では、89.2%が「とても楽しかった」と答えています。
8月にはNICE CAMERAの製品サイトを全面的にリニューアルし、公式キャラクター「日向ナナ」のAIアバターが、サイトの内容から機能や使い方の質問に答えるようにしました。同じ8月に、静岡県内の公立小学校へ「総合的な学習の時間」で児童が使うAI対話キオスクを納品しました。学校や市、省庁が公開している14サイト・905ページだけを知識源にして、学年に合わせた言葉づかいで答えます。8月26日から授業で使われていて、引き渡し後は、学校が教科の話題や雑談の話題を自分たちで追加しています。
9月には、第31回日本バーチャルリアリティ学会大会で「プロテウス効果とアバタデザイン」を発表し、9月13日には技術書同人誌博覧会(技書博14)で同人誌『VTuberデザイン考察』を頒布しました。9月23日には、東京・浜松町で開かれた「生成AIなんでも展示会 Vol.6」に出展し、自社の生成AIアプリを来場者に体験いただきました。
北海道の体育館、小学校の教室、展示会のブースと、生成AIのアプリを実際に使っていただく場所が、21期に大きく広がりました。各会場で、生成AIが実現する体験を多くの方に感じ取っていただけたものと考えております。
第22期 企業との協業による提供の拡大
22期は、21期に積み上げた知見をもとに、より多くの企業とコラボレーションし、キッズプレートのアプリを多くの皆さまにお届けします。
現在、国内の大手企業を含む複数の企業と、自社アプリを使った協業の準備を進めています。21期に小学校で始まった取り組みも、ほかの学校へ広げる準備を始めました。ある美術館では、AIアバターの展示を予定しています。企業名や取り組みの内容は、準備が整い次第、当社サイトにてお知らせいたします。どうぞご期待ください。
あわせて、次のことにも取り組みます。
AIアバターを、学校・自治体・公共施設・文化施設の案内役として届けます。 公開された情報だけを根拠に答え、使う方が自分で中身を入れ替えられる形で届けます。
AI-KATA S2Pを、子どもが描いた絵から始まる学びとして、イベントと教室に届けます。 幌延では2日間で286体のキャラクターが生まれました。同じ体験を、より多くの場所へ届けます。
研究と製品のあいだを往復します。 学会で示したアバターデザインの設計指針を製品の設計に戻し、製品の現場で起きたことを研究として発表します。
生成AIによる開発と運用の手法を、企業と教育の現場に広めます。 キッズプレートは、生成AIを活用してアプリとサイトを少人数で開発し、運用してきました。成果と課題の両方をLabやnoteの連載「中小企業のAI時代Web戦略」で公開し、大学の授業と学会発表を通じて次の世代のつくり手に伝えます。生成AIを使いこなす企業と人を増やすことも、キッズプレートの仕事と考えています。
キッズプレートが目指す社会
キッズプレートは「人を、身体・脳・時間・空間・能力の制約から解放された、新しい生き方に挑戦します」という目標を掲げています。内閣府のムーンショット目標は、人が身体や脳、空間、時間の制約から解放された社会を2050年までに実現するとしています。キッズプレートは、アバターとAIによって、目標とされる社会を先取りして、現場に実装していきます。
私たちが目指すのは、一人ひとりにAIの相方がいて、ともに学び、働き、暮らす社会です。アバターは、身体や距離、時間の事情を越えて人が社会に出ていくための姿になります。AIの相方は、人の話を聞き、一緒に考え、苦手なことや足りない知識を補います。病気や障害、住んでいる場所、年齢を理由に、人が学ぶことや働くこと、人と話すことをあきらめずに済む社会を、アバターとAIで実現したいと考えています。
目指す社会の実現に向けて、キッズプレートはアバターとAIの相方を、特別な場所で体験する先端技術にとどめず、学校、職場、家庭、街の案内所で誰もが毎日使う道具として届けます。デザイン、技術、教育の三つの領域で20年間培ってきた力を、すべて注ぎます。AIとともに人の可能性を広げる、新しいデジタル社会の始まりを、キッズプレートが第22期からつくってまいります。
第22期も、どうぞよろしくお願い申し上げます。
株式会社キッズプレート 代表取締役 茂出木 謙太郎